サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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謳歌絢爛21
~科学の無常なる恒久さとそれにひれ伏す~
~科学の無常なる恒久さとそれにひれ伏す~
何か、原因は無いのだろうか
霊力が正しく検出されない原因が。人型蒸気の搭乗者の霊力が実際より低く出てしまう症例…霊力は下がっていないが、何かのパーツが劣化して、本物の実力が表示されない。そんなことは存在しないのだろうか?
紅蘭は部屋の中にある山のような蒸気に関する書物を一つずつ、目を皿にして読みふける。主に霊力実験の失敗例についてだ。自分が体験したあれは、本物ではなく失敗の可能性だって十分考えられる…そう思って、彼女は書物の中から自分の思考と理想を満たす文面を探しているのだ。
「実験環境も問題ない、手順も何も間違ってない…何が原因なんや…」
その言葉が何度も出ては飲み込む。そんなことを言っている暇などない、探しつづけなければ…失敗なんて、科学者として最悪だ。理由を見つけなきゃ科学者失格、そう思いながら書物を読み漁る。
目を閉じればいつだって思い出すことができる。歌劇団のメンバーと出会ったときのことをはっきりと、特に、その人を取り巻く力に紅蘭はとくに惹かれる。この大きな帝都を守る彼女たちの力は、とてつもなく大きく、そして優しい。多くの人を守る信念と優しさ。そんな力が彼女たちからはにじみ出ていて、紅蘭自身は高い霊力を持ってはいないがその力をしっかりと感じることはできた。
幾度となく衝突を繰り返す。ぶつかったそのときにつく痕は痕のままではなくて、それ以上の「なにか」に満たされているようで、ただの思い出話として消化されているだけだ。傷跡はえぐられても、そこに優しい彼女たちの気持ちや心遣いで埋められる。そして、衝突による影響は傷ではなく、互いの信頼が満たされる。
離れたいなど思ったことはない。離れようと思ったこともない。
ただ彼女は無意識にそこにいる。無意識にそれを受け入れる。無意識にそれを求めている。
でも、今切実に思う。
変わりたくない。この帝国劇場で暮らす穏やかな日々をこのまま続けていきたい。
科学者の地位も誇りも夢もなげうってしまってもいい、誰か、失敗なのだと言ってほしい。
この右下がりの霊力値は、きっと何かの緩みやらサビやらで、正しい値を得ることができていない。
このまま右下がりのグラフは続けば、ある一本の線と交わる。その線に名づけられた名前は「霊力最低ライン」…これ以上霊力のない人間は、帝都を防衛するために無十分とみなされる。
自分はドジなのだから、何か失敗しているに違いない。
思い当たる文献を手当たり次第見た。何も影響を与えるであろう部分に不備はない。
思い当たる機械の接合部や接触を見た。何も失敗に繋がるような場所はない。
自分は、完璧なのである。
「ああ……」
紅蘭はその眼鏡を床に落として、手で目を覆った。
ずっとパネルや文献を見ていたおかげで、目はとっくに限界を迎えている。それでも、譲りたくないものがあったのだ。
自分の完璧さが嫌になったのは、初めてだ。
霊力が正しく検出されない原因が。人型蒸気の搭乗者の霊力が実際より低く出てしまう症例…霊力は下がっていないが、何かのパーツが劣化して、本物の実力が表示されない。そんなことは存在しないのだろうか?
紅蘭は部屋の中にある山のような蒸気に関する書物を一つずつ、目を皿にして読みふける。主に霊力実験の失敗例についてだ。自分が体験したあれは、本物ではなく失敗の可能性だって十分考えられる…そう思って、彼女は書物の中から自分の思考と理想を満たす文面を探しているのだ。
「実験環境も問題ない、手順も何も間違ってない…何が原因なんや…」
その言葉が何度も出ては飲み込む。そんなことを言っている暇などない、探しつづけなければ…失敗なんて、科学者として最悪だ。理由を見つけなきゃ科学者失格、そう思いながら書物を読み漁る。
目を閉じればいつだって思い出すことができる。歌劇団のメンバーと出会ったときのことをはっきりと、特に、その人を取り巻く力に紅蘭はとくに惹かれる。この大きな帝都を守る彼女たちの力は、とてつもなく大きく、そして優しい。多くの人を守る信念と優しさ。そんな力が彼女たちからはにじみ出ていて、紅蘭自身は高い霊力を持ってはいないがその力をしっかりと感じることはできた。
幾度となく衝突を繰り返す。ぶつかったそのときにつく痕は痕のままではなくて、それ以上の「なにか」に満たされているようで、ただの思い出話として消化されているだけだ。傷跡はえぐられても、そこに優しい彼女たちの気持ちや心遣いで埋められる。そして、衝突による影響は傷ではなく、互いの信頼が満たされる。
離れたいなど思ったことはない。離れようと思ったこともない。
ただ彼女は無意識にそこにいる。無意識にそれを受け入れる。無意識にそれを求めている。
でも、今切実に思う。
変わりたくない。この帝国劇場で暮らす穏やかな日々をこのまま続けていきたい。
科学者の地位も誇りも夢もなげうってしまってもいい、誰か、失敗なのだと言ってほしい。
この右下がりの霊力値は、きっと何かの緩みやらサビやらで、正しい値を得ることができていない。
このまま右下がりのグラフは続けば、ある一本の線と交わる。その線に名づけられた名前は「霊力最低ライン」…これ以上霊力のない人間は、帝都を防衛するために無十分とみなされる。
自分はドジなのだから、何か失敗しているに違いない。
思い当たる文献を手当たり次第見た。何も影響を与えるであろう部分に不備はない。
思い当たる機械の接合部や接触を見た。何も失敗に繋がるような場所はない。
自分は、完璧なのである。
「ああ……」
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自分の完璧さが嫌になったのは、初めてだ。
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