サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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謳歌絢爛18
~衣装室・かえでの場合~
~衣装室・かえでの場合~
藤枝かえでは、鏡の中の自分を見つめていた。紫色の着物に身を包む自分、帯をぎゅっと強く締める。精神的に胸がいっぱいで、締め付けて肺の中身をすべて出し切らなければ気が済まなかった。はああ、とゆっくりとゆっくりと、吐けるだけの空気を肺から吐き出した。
この衣装はかつてすみれが着ていたものだ。偶然かえでがすみれと背格好が良く似ていたために副支配人という立場ながら舞台の上に立つことになったのだ。
―――それでも自分は、まごうことなき軍人である。
国の平和を手に入れるため、人間一人を犠牲にすることもある、そんな職業に身を置き始めて何年になるだろうか。そんな人間が、舞台の上に立っていてもいいのか。夢を与える花組と共に、この舞台に立つ自分は人を傷つけることばかり学んできているのだ。そんな自分が、見ている人に夢を与えることはできるのだろうか。そんな疑問ばかり湧いてくる。
初めは、自分にそっくりな姉に憧れて軍人になったのだと思う。軍人になってからは姉とは違う道のりをたどってきたが、結局はこの劇場にたどり着いた。長い長い道のりを経て。
……この子も、そうなのだろうか。
そしてすぐそばの机においた便箋の中身を思い出すのだ。
…部屋でまだよく寝ているであろうはなの脱いだ着物から出てきた便箋。
寝るときに着物で寝させる訳にはいかない、と彼女にアイリスの服(もちろんアイリスの持っている服の中で一番地味なものだ)を着せて、着物を畳んだときに出てきたものだ。まさか本人が書いたものではあるまい。きっと、何かが書かれているはずであろうと思って、その皺が強く刻まれたその便箋の封を切った。その中身を自分の中で復唱する。
“この手紙を読む、はなの傍に居る方へ”
レニの今の状態について分かるのは私だけ。
レニの過去のことだから、私から伝えることじゃないの。
かつての何も話さないレニの場合は私から伝えなくちゃいけなかったけ
れど、もう違う。彼女は彼女自身の心を既にもう持っている。自分の話したいことも分かる、自分の話したくないことも分かる…だから、レニから話さなくてはいけない。みんなに。
大神くんにも、織姫にも。…織姫には、悪いことをしちゃったかもしれないわね。
それでも…私から伝えることでは、ない。
この問題は、残酷だけれど、レニ独りで戦っていく問題だから。
レニが症状を現したその日から、私は毎日レニが寝てから部屋に行っている。あの子が寝てから気づかないように物音をたてないようにあの子に近づいて注射器を取り出して。
この綺麗に見える真っ白な肌は、今まで血も涙もない大人たちにどれだけ傷つけられたのか、想像もつかないけれど、私はあの子を助け出した雪の降る夜から共に生きることを決めた。もう、自分に普通の人生が送れるとは思ってもいなかったから。ずっとこの地を守るのが私だって、姉さんに誓ったつもりだったけれど…
「姉さん…私はこれしかもう……」
大神くんにも
大神くんと一緒に花組をまとめているマリアにも
レニと一緒に二つの組で都市防衛をしてきた織姫にも
レニと一番中の良いアイリスにも
もちろん花組の全員に。
本当に、ごめんなさい…
懐に、はなの手紙を仕舞った。
そして、楽屋の扉を開けた。そこにはレニが顔を少ししかめながら鏡の前に座っていた。
鏡前には一輪の花が生けてある。…いつもと同じ光景。
「…レニ」
-----------------
鏡前の設定はレニくらいしか使えないかと。
薬漬けカンナとか、基礎化粧品が並びまくってるとか、ちょっと花組くさくないですから笑
この衣装はかつてすみれが着ていたものだ。偶然かえでがすみれと背格好が良く似ていたために副支配人という立場ながら舞台の上に立つことになったのだ。
―――それでも自分は、まごうことなき軍人である。
国の平和を手に入れるため、人間一人を犠牲にすることもある、そんな職業に身を置き始めて何年になるだろうか。そんな人間が、舞台の上に立っていてもいいのか。夢を与える花組と共に、この舞台に立つ自分は人を傷つけることばかり学んできているのだ。そんな自分が、見ている人に夢を与えることはできるのだろうか。そんな疑問ばかり湧いてくる。
初めは、自分にそっくりな姉に憧れて軍人になったのだと思う。軍人になってからは姉とは違う道のりをたどってきたが、結局はこの劇場にたどり着いた。長い長い道のりを経て。
……この子も、そうなのだろうか。
そしてすぐそばの机においた便箋の中身を思い出すのだ。
…部屋でまだよく寝ているであろうはなの脱いだ着物から出てきた便箋。
寝るときに着物で寝させる訳にはいかない、と彼女にアイリスの服(もちろんアイリスの持っている服の中で一番地味なものだ)を着せて、着物を畳んだときに出てきたものだ。まさか本人が書いたものではあるまい。きっと、何かが書かれているはずであろうと思って、その皺が強く刻まれたその便箋の封を切った。その中身を自分の中で復唱する。
“この手紙を読む、はなの傍に居る方へ”
レニの今の状態について分かるのは私だけ。
レニの過去のことだから、私から伝えることじゃないの。
かつての何も話さないレニの場合は私から伝えなくちゃいけなかったけ
れど、もう違う。彼女は彼女自身の心を既にもう持っている。自分の話したいことも分かる、自分の話したくないことも分かる…だから、レニから話さなくてはいけない。みんなに。
大神くんにも、織姫にも。…織姫には、悪いことをしちゃったかもしれないわね。
それでも…私から伝えることでは、ない。
この問題は、残酷だけれど、レニ独りで戦っていく問題だから。
レニが症状を現したその日から、私は毎日レニが寝てから部屋に行っている。あの子が寝てから気づかないように物音をたてないようにあの子に近づいて注射器を取り出して。
この綺麗に見える真っ白な肌は、今まで血も涙もない大人たちにどれだけ傷つけられたのか、想像もつかないけれど、私はあの子を助け出した雪の降る夜から共に生きることを決めた。もう、自分に普通の人生が送れるとは思ってもいなかったから。ずっとこの地を守るのが私だって、姉さんに誓ったつもりだったけれど…
「姉さん…私はこれしかもう……」
大神くんにも
大神くんと一緒に花組をまとめているマリアにも
レニと一緒に二つの組で都市防衛をしてきた織姫にも
レニと一番中の良いアイリスにも
もちろん花組の全員に。
本当に、ごめんなさい…
懐に、はなの手紙を仕舞った。
そして、楽屋の扉を開けた。そこにはレニが顔を少ししかめながら鏡の前に座っていた。
鏡前には一輪の花が生けてある。…いつもと同じ光景。
「…レニ」
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鏡前の設定はレニくらいしか使えないかと。
薬漬けカンナとか、基礎化粧品が並びまくってるとか、ちょっと花組くさくないですから笑
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