サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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謳歌絢爛19
~I~
~I~
がちがちと歯の根を合わすことができない。妙な寒気と戦い始めて、このことを誰にも言えずにいた。
震えた体は止まらない。この戦いが始まって、何も言わずにどれだけ経ったのか、数えたくはない。…きっとそんなに時間はたっていないから。
「こわいよ…」
『さみしい』
『こわい』
『かなしい』
そんな心の叫びが彼女の体に伝わってくる。体中のすべてがその声の叫びに合わせて脈打っている。心臓の音、自分の息を吐く音だけで耳はいっぱいになっている。
こんなことは…こんなにかなしいのは…分からないようで知っているのかもしれない。
もしかして初めてじゃないの?
もしかして知ってるの?
自分に問いかけて…
あ、そっか…
これが懐かしいって…いうんだね…
これは、昔のアイリスなんだね…
雨の降る日が好きだったの。
だあれもお外で遊ぶ人がいないから。
だあれも友達なんかと一緒にいないから。
みんなアイリスと一緒だって、思えたから。
ずっと雨が降る音だけが聞こえていれば、幸せだったの。
広い部屋。
柔らかな絨毯。
豪華なベッド。
たくさんのぬいぐるみ。
ふわふわなドレス。
何も不自由など無かった。
暖かい食事、きれいな洋服、大きな家。最高の衣食住が彼女には与えられていた。
それでも彼女に服や食事を渡す女中たちの目は、まるで化け物を見るかのように恐怖に染まっていた。
家族も、そうだった。
『さみしい』
誰もアイリスと遊んでくれない、誰も呼んでも来てくれない。パパとママも…
『こわい』
ひとりの夜はこわい。こわい夢をみた日も、おトイレに行きたくて目が覚めた日も、誰も助けになんて来てくれない。真っ暗な部屋でアイリスはひとり。誰もアイリスのことなんていらないんだって、考える、それだけでこわかった…
『かなしい』
アイリスは人間なんかじゃないんだって。
アイリスは…みんないらないんだ。
生まれてこなければ良かったのに。
アイリスの代わりに違う子が生まれてたら、パパもママももっと、幸せになってたのかな?
アイリスなんて…いらないんだよね…
雨の日が、大好きなの。みんなアイリスと一緒、みんなアイリスみたいに家でひとりだもん。
アイリスだけじゃ、ないもん…
そんな過去の想いが彼女の中で蘇る。
色鮮やかにすべてが彼女の頭に飛び込んで、自分という記憶を思い出そうとせめぎ合っている。
母とつないだ手がいきなり離された。よく分からないことを叫んで父に泣きついていた。その間も母はよく分からないことを叫んでいた。
…その日から手をつなぐことがなくなった。
お花の手入れをしているときも、そう。とてもいたんだお花だったの。花びらがたくさん落ちて、茎が折れてたの。
死なないでって、そのお花にお願いしたらその花が元気に上を向いて咲いてたの。それをママが見てて…またパパのところで泣いてた。
しばらく経ってから、アイリスはお部屋でひとりだった。
ぐっと目の下が熱くなって、涙が溢れていた。
「アイリス…ひとりじゃないもん…っ!!」
腕に握った大きなクッションに顔をうずめた。
一つ思い出すと昔のつらい思い出が蘇る。誰と話すこともなく、過ごした幼少時代。部屋の外はいつも晴れだった。
帝国華撃団に配属されてから数年、アイリスは力のコントロールを覚え、昔のようにパニック状態に陥り爆発させるということはなくなった。そんな彼女に彼女の両親も昔のように彼女に冷たくあたったりはしない。昔触れられなかった時間を取り戻すかのように、手紙を送ったりプレゼントを送ったりしている。
アイリスは机の中から両親の手紙を取り出して、便箋を取り出した。
アイリス、お元気ですか?
体の調子を崩したりはしていませんか?
なかなかアイリスに会えなくて私たちもさみしいですが、日本にいるあなたはお芝居にお歌に大変なのでしょうね、私たちが見ていない間に身長も大きくなっていて、驚きました。
先日、またアイリスの好きなリンツの新しいお菓子を買っておきました。しばらくたったら届くと思うので、楽しみにしていてね。
またアイリスがフランスに帰ってくるときは教えてください。楽しみに私たちは待っています。
「フランス…」
そこはまごうことなき彼女の故郷、たとえどんな状況だったとしても、彼女が幼いころを過ごした地。そして彼女の両親が過ごす場所。
『ママの体の調子が悪いみたいです』
そんな織姫の言葉を思い出したところで、アイリスは音楽室から聞こえるピアノの音を聴いたのだった。
-----------------
アイリス前夜うろ覚えです;;
震えた体は止まらない。この戦いが始まって、何も言わずにどれだけ経ったのか、数えたくはない。…きっとそんなに時間はたっていないから。
「こわいよ…」
『さみしい』
『こわい』
『かなしい』
そんな心の叫びが彼女の体に伝わってくる。体中のすべてがその声の叫びに合わせて脈打っている。心臓の音、自分の息を吐く音だけで耳はいっぱいになっている。
こんなことは…こんなにかなしいのは…分からないようで知っているのかもしれない。
もしかして初めてじゃないの?
もしかして知ってるの?
自分に問いかけて…
あ、そっか…
これが懐かしいって…いうんだね…
これは、昔のアイリスなんだね…
雨の降る日が好きだったの。
だあれもお外で遊ぶ人がいないから。
だあれも友達なんかと一緒にいないから。
みんなアイリスと一緒だって、思えたから。
ずっと雨が降る音だけが聞こえていれば、幸せだったの。
広い部屋。
柔らかな絨毯。
豪華なベッド。
たくさんのぬいぐるみ。
ふわふわなドレス。
何も不自由など無かった。
暖かい食事、きれいな洋服、大きな家。最高の衣食住が彼女には与えられていた。
それでも彼女に服や食事を渡す女中たちの目は、まるで化け物を見るかのように恐怖に染まっていた。
家族も、そうだった。
『さみしい』
誰もアイリスと遊んでくれない、誰も呼んでも来てくれない。パパとママも…
『こわい』
ひとりの夜はこわい。こわい夢をみた日も、おトイレに行きたくて目が覚めた日も、誰も助けになんて来てくれない。真っ暗な部屋でアイリスはひとり。誰もアイリスのことなんていらないんだって、考える、それだけでこわかった…
『かなしい』
アイリスは人間なんかじゃないんだって。
アイリスは…みんないらないんだ。
生まれてこなければ良かったのに。
アイリスの代わりに違う子が生まれてたら、パパもママももっと、幸せになってたのかな?
アイリスなんて…いらないんだよね…
雨の日が、大好きなの。みんなアイリスと一緒、みんなアイリスみたいに家でひとりだもん。
アイリスだけじゃ、ないもん…
そんな過去の想いが彼女の中で蘇る。
色鮮やかにすべてが彼女の頭に飛び込んで、自分という記憶を思い出そうとせめぎ合っている。
母とつないだ手がいきなり離された。よく分からないことを叫んで父に泣きついていた。その間も母はよく分からないことを叫んでいた。
…その日から手をつなぐことがなくなった。
お花の手入れをしているときも、そう。とてもいたんだお花だったの。花びらがたくさん落ちて、茎が折れてたの。
死なないでって、そのお花にお願いしたらその花が元気に上を向いて咲いてたの。それをママが見てて…またパパのところで泣いてた。
しばらく経ってから、アイリスはお部屋でひとりだった。
ぐっと目の下が熱くなって、涙が溢れていた。
「アイリス…ひとりじゃないもん…っ!!」
腕に握った大きなクッションに顔をうずめた。
一つ思い出すと昔のつらい思い出が蘇る。誰と話すこともなく、過ごした幼少時代。部屋の外はいつも晴れだった。
帝国華撃団に配属されてから数年、アイリスは力のコントロールを覚え、昔のようにパニック状態に陥り爆発させるということはなくなった。そんな彼女に彼女の両親も昔のように彼女に冷たくあたったりはしない。昔触れられなかった時間を取り戻すかのように、手紙を送ったりプレゼントを送ったりしている。
アイリスは机の中から両親の手紙を取り出して、便箋を取り出した。
アイリス、お元気ですか?
体の調子を崩したりはしていませんか?
なかなかアイリスに会えなくて私たちもさみしいですが、日本にいるあなたはお芝居にお歌に大変なのでしょうね、私たちが見ていない間に身長も大きくなっていて、驚きました。
先日、またアイリスの好きなリンツの新しいお菓子を買っておきました。しばらくたったら届くと思うので、楽しみにしていてね。
またアイリスがフランスに帰ってくるときは教えてください。楽しみに私たちは待っています。
「フランス…」
そこはまごうことなき彼女の故郷、たとえどんな状況だったとしても、彼女が幼いころを過ごした地。そして彼女の両親が過ごす場所。
『ママの体の調子が悪いみたいです』
そんな織姫の言葉を思い出したところで、アイリスは音楽室から聞こえるピアノの音を聴いたのだった。
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アイリス前夜うろ覚えです;;
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