サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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謳歌絢爛14
~中庭にて~
~中庭にて~
中庭の片隅で、カンナが一つ一つの動作を確認するようにその手に持つ長く細い棒を回転させる。彼女のこの公演での役は赤鮫だけでなく、黒潮騎士もある。この棒―――本番では黒潮騎士の槍である―――をまわすことだって、孫悟空を演じたたこともあるカンナからすれば苦労することはないが、気を抜くことはできない。力を入れ過ぎても抜きすぎてもいけない。そっと触れるように、力強くその棒をとらえる指を離して逆の手へ…
「あわっ…!」
軽い音を立てて、順調に回していた棒が芝生の上に落ちた。力を抜きすぎたのが原因だ、と落とした理由を考えながらその棒を拾い上げた。
「あたいとしたことが、こんなことで失敗するなんてな」
まるで自分を慰めているような、そんな口調だった。千秋楽を目前に控え、失敗をすることはカンナにとっては許されないことだし、第一まさかこんなところで自分が失敗するとも思っていなかった。
「あたいらしく…ねえな…」
昨日のキネマトロンでのすみれの声を思い出した。本音をこぼしてしまったときに、まるで自分のことのように悲しそうな顔でカンナの言葉を聞いていた。
“カンナさんらしくありませんわ!”
そんなことをいつもなら言いそうな彼女が、昨日は黙って俯くままだった。カンナを気遣うように彼女の名前を呼びかけるだけだった。
「今のあたいは、あたいのカケラもないのかな…」
“らしくない”と言われるような桐島カンナでもいい、ただ自分は桐島カンナに戻りたかった。
「きゃあっ」
「なんだ、アイリスか。どうしたんだ、中庭なんかに来て…」
カンナは中庭の芝生を踏みしめる音で後ろに振り返る。そこには顔を真っ青にしたアイリスがいた。
「どうしたんだ、その顔!!アイリス調子でも…」
「あ、アイリスなんでもないよっ!!」
アイリスは横に大きく顔を振った。その様子はどうもおかしい。何をするにもびくびくと震えながら、周りをきょろきょろと見回している。
「なんでもないわけないだろ?なんだ、何か不安なことでもある…」
「そんなことないもん!アイリス、何もないもん!!」
カンナの言葉に間髪入れずに強く否定する。ここまで来ると何もないはずがない、ということがまるわかりだが、アイリスは何も教えようとはしなかった。
「もうカンナなんて知らないっ!!」
「お、おいアイリス!?待てって…!!」
アイリスを引きとめようとするが、アイリスは全速力で二階まで駆け上がっていってしまった。自分から逃げるほどに隠したいことのあるアイリスを、カンナは強く問い詰めようとは思えなかった。
「どうしたんだ、アイリス…」
真っ青な顔、震える体、その自慢の金色の髪の毛さえもぼさぼさとしていたアイリスを思い出す。本当に何もなかったはずがない。…そういえばアイリスがあんなにも不安そうな表情を浮かべていたのは久しぶりだ、とカンナは思う。
あんな表情をするのはアイリスが大きな敵を目前にしたときのみだった。帝都をかけ、そして自分の命さえもかけた戦いの直前。出撃をしなくなった最近は見ることがなかったが、一体なぜ…そんな疑問がカンナの中では渦巻いている。
ふう、と額を拭うと自分がしっかりと汗をかいていることに気がついた。その瞬間からなぜか体中がべとつくような気がして、カンナは顔を顰めた。
「風呂でも、入っかな…」
---------------------------------
長いパラグラフと短いパラグラフの差がありすぎて、短くなってます。
ごめんなさいですー><
「あわっ…!」
軽い音を立てて、順調に回していた棒が芝生の上に落ちた。力を抜きすぎたのが原因だ、と落とした理由を考えながらその棒を拾い上げた。
「あたいとしたことが、こんなことで失敗するなんてな」
まるで自分を慰めているような、そんな口調だった。千秋楽を目前に控え、失敗をすることはカンナにとっては許されないことだし、第一まさかこんなところで自分が失敗するとも思っていなかった。
「あたいらしく…ねえな…」
昨日のキネマトロンでのすみれの声を思い出した。本音をこぼしてしまったときに、まるで自分のことのように悲しそうな顔でカンナの言葉を聞いていた。
“カンナさんらしくありませんわ!”
そんなことをいつもなら言いそうな彼女が、昨日は黙って俯くままだった。カンナを気遣うように彼女の名前を呼びかけるだけだった。
「今のあたいは、あたいのカケラもないのかな…」
“らしくない”と言われるような桐島カンナでもいい、ただ自分は桐島カンナに戻りたかった。
「きゃあっ」
「なんだ、アイリスか。どうしたんだ、中庭なんかに来て…」
カンナは中庭の芝生を踏みしめる音で後ろに振り返る。そこには顔を真っ青にしたアイリスがいた。
「どうしたんだ、その顔!!アイリス調子でも…」
「あ、アイリスなんでもないよっ!!」
アイリスは横に大きく顔を振った。その様子はどうもおかしい。何をするにもびくびくと震えながら、周りをきょろきょろと見回している。
「なんでもないわけないだろ?なんだ、何か不安なことでもある…」
「そんなことないもん!アイリス、何もないもん!!」
カンナの言葉に間髪入れずに強く否定する。ここまで来ると何もないはずがない、ということがまるわかりだが、アイリスは何も教えようとはしなかった。
「もうカンナなんて知らないっ!!」
「お、おいアイリス!?待てって…!!」
アイリスを引きとめようとするが、アイリスは全速力で二階まで駆け上がっていってしまった。自分から逃げるほどに隠したいことのあるアイリスを、カンナは強く問い詰めようとは思えなかった。
「どうしたんだ、アイリス…」
真っ青な顔、震える体、その自慢の金色の髪の毛さえもぼさぼさとしていたアイリスを思い出す。本当に何もなかったはずがない。…そういえばアイリスがあんなにも不安そうな表情を浮かべていたのは久しぶりだ、とカンナは思う。
あんな表情をするのはアイリスが大きな敵を目前にしたときのみだった。帝都をかけ、そして自分の命さえもかけた戦いの直前。出撃をしなくなった最近は見ることがなかったが、一体なぜ…そんな疑問がカンナの中では渦巻いている。
ふう、と額を拭うと自分がしっかりと汗をかいていることに気がついた。その瞬間からなぜか体中がべとつくような気がして、カンナは顔を顰めた。
「風呂でも、入っかな…」
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