サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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ミルキーウェイ・7
~不本意に、飾られて~
~不本意に、飾られて~
「季節外れのミルキィウェイはいかがですか?」
一年に一度きりのクリスマス公演が迫った日の買出しの帰り、大神は通りかかったブティックのウインドウに貼られた広告を見た。そしてそのブティックの中をウインドウから覗き込むと、色鮮やかな蒼のドレスに目を奪われた。
―――クリスマスに恋人にドレスを送るなんて、考えもつかなかった時代の話である。
ただ、通りがかったブティックのそのドレスに目を奪われたのだ。青の色と空色が溶け合うような色合いの、決して高級とも言えないような新進気鋭のデザイナーによってデザインされたドレス。手に入れたところで何も渡す理由などない、たった一瞬「似合うだろう」と思って、もう気づいたらそのドレスを買い求めている自分がいた。渡す理由すら見当たらず、どうしようもなくなったこのドレスは大神の部屋のクロゼットの奥深くに忍ばせてある…まさかこんなところで渡す理由を手に入れるだなんて、思ってもいなかった。
ただそこにあるのは、自分と同じように彼女に想いを寄せる男が贈った豪華なドレスへの嫉み。自分が買ったこの安物など、彼女は着ようと思わないかもしれない。あの男の贈ったドレスの方が最先端の技術が使われ、美しい。パーツの一つ一つに手間がこめられている。そんなものに、勝てるのだろうか?
ただそんな不安を抱えて、以前から彼女のためのドレスがあったことも言えずに迎えたクリスマス公演は大きな拍手と共に幕を下ろした。表情の豊かな天使の役がとても印象的だったという意見がとても多かったようだ。
そんな幕も下りて数時間経った頃、大神はレニの部屋のドアをノックした。大神は外出着に着替えて、その腕には一つ紙袋を下げていた。中からレニの返事が聞こえる。
「レニ、もう…大丈夫かい?」
「うん、天使の衣装も着替えたし、舞台の片付けもほとんど終わったし…」
「もう少し時間がかかると思ってたけど、さすが花組だね。舞台の片付けもあっという間だね」
「そうだね。で、隊長…私の正装っていうのは用意できた?もしも忙しくて用意できてないんだったら、丁度ドレスも頂いたことだし別にいいんだけど…隊長に、迷惑かけたくないし…」
「レニはどっちが着たいんだい?」
「どっちって…じゃあ隊長はボクにどっちを着てほしいの」
「さっきレニがもらったドレスを着てたとき、一瞬しか見てないから判断できないよ。もう一度、着てくれないか?」
一瞬身体がビクリと震えた。またあの男からもらった服を着るのかと、考えて。
気持ち悪いほどにピッタリのドレスを。
「分かった」
でも隊長の望みなら、ボクは従うだけ……
肌に生地が触れるだけで。ドレスの衣擦れの音だけで胸が、喉が、苦しくなる。
お腹が締め付けられるように痛くなる。
なんでこんなにもボクは弱くなってしまったんだろう。
このドアを開いた先に、笑顔で「似合うよ」って言ってくれる隊長が居てほしい。
ドアを開いた先に「似合わない」って言ってくれる隊長がいてほしい。
もう、自分がどうなっているか分からない…!!
いっそこのドレスが無くなってしまえばいい。
こんなドレス、一度着る前に差出人を見て受けとらなければ良かった…!!
「どう、思う?」
熱の籠った隊長の視線。
まるで全身を虫が這いずっているかのように肌という肌全てに悪寒が走る。
やだ…やめて…
見ないで
あんな男にもらった服を着たボクを褒めないで。
お願いだから「可愛くない」なんて言わないで。
触れられてもいないのに…身体が震えて脚がもう持たない…
「た…たいちょ…」
「よく似合ってるよ、レニ」
永久のように感じた時間に終止符が打たれた。大神の言葉は一番望み、一番恐れた言葉だった。
---------------------------------------------
一人称がごっちゃになってるのはちゃんと理由はありますヨ
一年に一度きりのクリスマス公演が迫った日の買出しの帰り、大神は通りかかったブティックのウインドウに貼られた広告を見た。そしてそのブティックの中をウインドウから覗き込むと、色鮮やかな蒼のドレスに目を奪われた。
―――クリスマスに恋人にドレスを送るなんて、考えもつかなかった時代の話である。
ただ、通りがかったブティックのそのドレスに目を奪われたのだ。青の色と空色が溶け合うような色合いの、決して高級とも言えないような新進気鋭のデザイナーによってデザインされたドレス。手に入れたところで何も渡す理由などない、たった一瞬「似合うだろう」と思って、もう気づいたらそのドレスを買い求めている自分がいた。渡す理由すら見当たらず、どうしようもなくなったこのドレスは大神の部屋のクロゼットの奥深くに忍ばせてある…まさかこんなところで渡す理由を手に入れるだなんて、思ってもいなかった。
ただそこにあるのは、自分と同じように彼女に想いを寄せる男が贈った豪華なドレスへの嫉み。自分が買ったこの安物など、彼女は着ようと思わないかもしれない。あの男の贈ったドレスの方が最先端の技術が使われ、美しい。パーツの一つ一つに手間がこめられている。そんなものに、勝てるのだろうか?
ただそんな不安を抱えて、以前から彼女のためのドレスがあったことも言えずに迎えたクリスマス公演は大きな拍手と共に幕を下ろした。表情の豊かな天使の役がとても印象的だったという意見がとても多かったようだ。
そんな幕も下りて数時間経った頃、大神はレニの部屋のドアをノックした。大神は外出着に着替えて、その腕には一つ紙袋を下げていた。中からレニの返事が聞こえる。
「レニ、もう…大丈夫かい?」
「うん、天使の衣装も着替えたし、舞台の片付けもほとんど終わったし…」
「もう少し時間がかかると思ってたけど、さすが花組だね。舞台の片付けもあっという間だね」
「そうだね。で、隊長…私の正装っていうのは用意できた?もしも忙しくて用意できてないんだったら、丁度ドレスも頂いたことだし別にいいんだけど…隊長に、迷惑かけたくないし…」
「レニはどっちが着たいんだい?」
「どっちって…じゃあ隊長はボクにどっちを着てほしいの」
「さっきレニがもらったドレスを着てたとき、一瞬しか見てないから判断できないよ。もう一度、着てくれないか?」
一瞬身体がビクリと震えた。またあの男からもらった服を着るのかと、考えて。
気持ち悪いほどにピッタリのドレスを。
「分かった」
でも隊長の望みなら、ボクは従うだけ……
肌に生地が触れるだけで。ドレスの衣擦れの音だけで胸が、喉が、苦しくなる。
お腹が締め付けられるように痛くなる。
なんでこんなにもボクは弱くなってしまったんだろう。
このドアを開いた先に、笑顔で「似合うよ」って言ってくれる隊長が居てほしい。
ドアを開いた先に「似合わない」って言ってくれる隊長がいてほしい。
もう、自分がどうなっているか分からない…!!
いっそこのドレスが無くなってしまえばいい。
こんなドレス、一度着る前に差出人を見て受けとらなければ良かった…!!
「どう、思う?」
熱の籠った隊長の視線。
まるで全身を虫が這いずっているかのように肌という肌全てに悪寒が走る。
やだ…やめて…
見ないで
あんな男にもらった服を着たボクを褒めないで。
お願いだから「可愛くない」なんて言わないで。
触れられてもいないのに…身体が震えて脚がもう持たない…
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永久のように感じた時間に終止符が打たれた。大神の言葉は一番望み、一番恐れた言葉だった。
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