サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
謳歌絢爛12
~言えない~
~言えない~
本日の公演が終わって、更に明日の準備も終わり閑散としている舞台。たくさんの汗と涙が染み込み、花組と共に過ごしてきたこの舞台の上に真宮寺さくらは立つ。さまざまなステージセットが取りつけられ、ばみられているこの舞台にはたくさんの思い出がある。そしてこれからも、たくさんの思い出を作っていくこの舞台…
「ご自分でお殺しなさい!!」
海神別荘のラスト、黒潮騎士団長の前で跪き、黒潮騎士団長ではなく公子に切り殺すことを懇願するシーンである。舞台の盛り上がりは最高潮を迎え、このままメインテーマにつながる重要なシーンの一つだ。
さくらは立ちあがり、公子役であるマリアをイメージしながら立ち位置を移動する。愛ゆえに自分を殺すよう願う美女の一つ一つの所作には、舞のように美しさが求められる。つま先から指先まで、すべてを美女のものにすることが必要不可欠なのである。
「ここは極楽ですか」
公子をひし、と抱き、幕が下ろされる。海神別荘はこれで終了である。
「違う…こんなの、じゃない…!」
さくらは一言つぶやくと、そこに座り込んだ。はぁ、と一つため息をつく。
小さな噂を聞いたのだ。
「トップたる真宮寺さくらの演技に、かつての冴えがない」
マリアに聞いても紅蘭に聞いても、何も変わりがないと言われた。本人としても何も変わりがないと思う。でも一度聞いてしまったからには、気にしないことができないのである。
求められているもの、誰もを納得させられる演技、それが見つけられなかった。
「すみれさんなら…」
ふと、そんな言葉がよく出るのである。
暗い廊下では、部屋の明かりがついていれば扉の隙間からその光が漏れる。光が漏れていないのであれば、その部屋に明かりがついていないことになる。
レニの部屋の明かりはついていない、悪いとは思うがそのドアノブに織姫は手をかけた。が、
「!!」
中から、人の気配がする。レニではない誰かの気配が、この暗闇からする。
織姫は身構えながら、その扉を開けた。
「誰ですか…って、かえでさん!!」
「織姫…どうして…」
暗闇で、眠るレニの枕もとにかえでが座っていた。
「なんでかえでさんがこーんな夜にレニの部屋にいるですか!」
「それはあなたもよ、織姫。あなただって明日は公演があるじゃない」
「わたしはレニに少し相談したいことがあっただけでーす。レニが起きていないなら何もせずに帰るつもりでした!」
「そう…じゃああなたはもう寝なさい。レニはこの通りもう眠っているもの…」
まるで織姫をその場から遠ざけたいようなかえでの態度に、織姫は疑問と同時に怒りが湧き上がってきたのである。
「どうしてかえでさんはこんなところにいるんですか。何か、レニのそばにいなきゃいけないことでもあったんですか」
「残念ながら、あなたには知らせられないことだわ」
暗闇ゆえに、かえでが一体何をしているのか把握することができない。
「どーしてですか!!わたしとかえでさんとでは、レニとの付き合った期間はそう変わらないじゃないですか!レニと知り合ったのが最近の花組の人ならともかく、どーしてわたしにも…」
「黙りなさい!!」
織姫の喉からひっ、という叫びが漏れる。かえでは、あやめの形見である刀の切っ先を織姫の喉元に向けていた。
「言わないことと言えないことは、違うのよ…」
かえでの茶の瞳が織姫を見つめる。その鬼気迫る眼差しに織姫は何も言えなかった。そして、何か「言えない」ことがあるのだと、ひしひしと感じた。
「ご自分でお殺しなさい!!」
海神別荘のラスト、黒潮騎士団長の前で跪き、黒潮騎士団長ではなく公子に切り殺すことを懇願するシーンである。舞台の盛り上がりは最高潮を迎え、このままメインテーマにつながる重要なシーンの一つだ。
さくらは立ちあがり、公子役であるマリアをイメージしながら立ち位置を移動する。愛ゆえに自分を殺すよう願う美女の一つ一つの所作には、舞のように美しさが求められる。つま先から指先まで、すべてを美女のものにすることが必要不可欠なのである。
「ここは極楽ですか」
公子をひし、と抱き、幕が下ろされる。海神別荘はこれで終了である。
「違う…こんなの、じゃない…!」
さくらは一言つぶやくと、そこに座り込んだ。はぁ、と一つため息をつく。
小さな噂を聞いたのだ。
「トップたる真宮寺さくらの演技に、かつての冴えがない」
マリアに聞いても紅蘭に聞いても、何も変わりがないと言われた。本人としても何も変わりがないと思う。でも一度聞いてしまったからには、気にしないことができないのである。
求められているもの、誰もを納得させられる演技、それが見つけられなかった。
「すみれさんなら…」
ふと、そんな言葉がよく出るのである。
暗い廊下では、部屋の明かりがついていれば扉の隙間からその光が漏れる。光が漏れていないのであれば、その部屋に明かりがついていないことになる。
レニの部屋の明かりはついていない、悪いとは思うがそのドアノブに織姫は手をかけた。が、
「!!」
中から、人の気配がする。レニではない誰かの気配が、この暗闇からする。
織姫は身構えながら、その扉を開けた。
「誰ですか…って、かえでさん!!」
「織姫…どうして…」
暗闇で、眠るレニの枕もとにかえでが座っていた。
「なんでかえでさんがこーんな夜にレニの部屋にいるですか!」
「それはあなたもよ、織姫。あなただって明日は公演があるじゃない」
「わたしはレニに少し相談したいことがあっただけでーす。レニが起きていないなら何もせずに帰るつもりでした!」
「そう…じゃああなたはもう寝なさい。レニはこの通りもう眠っているもの…」
まるで織姫をその場から遠ざけたいようなかえでの態度に、織姫は疑問と同時に怒りが湧き上がってきたのである。
「どうしてかえでさんはこんなところにいるんですか。何か、レニのそばにいなきゃいけないことでもあったんですか」
「残念ながら、あなたには知らせられないことだわ」
暗闇ゆえに、かえでが一体何をしているのか把握することができない。
「どーしてですか!!わたしとかえでさんとでは、レニとの付き合った期間はそう変わらないじゃないですか!レニと知り合ったのが最近の花組の人ならともかく、どーしてわたしにも…」
「黙りなさい!!」
織姫の喉からひっ、という叫びが漏れる。かえでは、あやめの形見である刀の切っ先を織姫の喉元に向けていた。
「言わないことと言えないことは、違うのよ…」
かえでの茶の瞳が織姫を見つめる。その鬼気迫る眼差しに織姫は何も言えなかった。そして、何か「言えない」ことがあるのだと、ひしひしと感じた。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
Web Clap
メールなんて送るのめんどくせぇよ!!
一言いいたいだけで~す!な方はぜひご利用ください。
お褒めの言葉以外も受け付けております。
ただいまお礼SSはモトホシ・大レニ・マリかえ・マリかえレニ・はずれでまわっておりますvv
リンク
当サイトについて
ライター:えーこ
URL:
http://karotosen2u.blog.shinobi.jp/
※バナーは直接リンク可。
こんなブログでよければリンクフリー。
リンクフリーの本来の意味は「トップページはリンクしても可」って意味なんだって。
お気に入りのサイトさまたちvv
銀座で直立歩行
塩絡みさま。モトホシ等
白鷺遊戯
くらゆきさま・わとこさま。マリかえ・カンすみ等
pincushion
観月さま。レニ中心。
WARBIRD WINGS~戦う翼達よ~
シンゴさま。サクラ大戦、ああっ女神さまっなど。
夢のつづき
蓮華さま。サクラ大戦など。
素敵なリンク集等サイトさまv
帝劇 りんく倶楽部さま
桜風さま
※サーチ・リンク集等は、管理人名を書く必要があるのかどうかすこし疑問があったため、サイト名のみとさせていただきました。
画像を使用させていただきました。
NOIONさま
カテゴリー
プロフィール
HN:
えーこ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析