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サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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甘甘め大レニ。
丁度コレくらいの時代に川端康成が伊豆の踊り子を発表していたから
「仕合わせ」表記はわりとされていたはず。

というかこれは微妙に大神誕生日SSのつもりだった。

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真っ白な封筒に、不慣れに字を書いたような、ガタガタとした字。
昔勉強を教えていたころの字とは明らかに上手になっているが、所々にその字の面影を残していて、それを見つけるたびにふと口元が緩んでしまう。


仕合わせの青写真

「支配人、少し、いい?」
「ああ、レニか。入って構わないよ」
「失礼します」
 レニがドアの外でそう言ってからゆっくりとドアが開けられるまで、しばらく時間があり、それにドアも蝶番が軋む音が聞こえるほどにゆっくりと開けられた。
「かえでさんから。お得意様からのお手紙だって。返事を書くものは適隊長にまかせる、だって」
 そのレニの両手に抱えられた紙の束を見て、特大のため息を漏らしてしまった。

「かえでさんにもたくさん返事を書かなくちゃいけない手紙があるのかい?」
「うん」
「でなきゃ俺のところにこれだけまわってこないよな」
「うん…今食堂で年賀状と手紙の仕分けが四人がかりで行われてる」
「そんなにも、帝劇には年賀状が来てるのか…」
「年末のファンレターもまとめてお正月に来るからね」
「俺は四年目になるけど…全然知らなかったな、そんなにお正月が大変だったなんて」
「いつも米田さんが暇だからって全部やってた。たまにかえでさんも手伝っていたけど…でもみんなもなんだかんだ言って楽しんでるから、隊長は何も思わなくていい」
 紙の束がどさ、っと大神の机に置かれた。

「どうしたの?その紙…」
「あ、ああこれかい?」
 レニのほうにちらりと「大神一郎様」と書かれた面を見せた。
「俺宛の手紙だよ。小さい頃から付き合いのある奴でね、小さい頃はよく勉強とかを教えたんだよ」
「へえ…新年のご挨拶の手紙?」
「たぶんそうだと思うけど…」
 ペーパーカッターでその手紙の封を切ると、中の便箋を取り出した。

「新年の挨拶と…結婚したそうだ!一つ下の女性と結婚して、冬に子供が生まれたそうだ」
「そうか…良かったね。そういえばその人は何歳なの?」
「確か十九だったな、じゃあ奥さんは十八ということだな」
「ボクと同い年、なんだ…」
 そういえば、と大神はレニの方を見ると、レニは何かを考え込むように口元に手をあてていた。

「どうしたんだい?」
「…日本では、ボクぐらいの歳で結婚するのは当たり前なの?」
「当たり前ではないけど…レニくらいの歳で結婚する人も多いよ。ただ最近は女性の社会進出が進んでいるからそんなことも少なくなってきたけど…」
「隊長は…」
 レニはぎゅっと大神のシャツの袖口を掴む。

「隊長は、ボクと結婚したいと思う?」
「い、いいっ!?なんでそんなことを突然!?」
「だ、だって…」
レニは頬を赤く染めて、俯いた。
「だってボクはその女の人みたいに結婚なんてできない。ボクはまだ結婚した相手を幸せにできるほど、いろんなこと、知らないから…」
「レニ…」
 大神は今にも泣いてしまいそうなレニの頭の上に手をのせて、その髪を撫でた。
「レニとその人は全然違うよ。どうやらその女の人とは小さい頃からの付き合いだったみたいだし、それに…」
「…それに?」
 大神は少し笑ってしまったが、おほんと咳払いを一つして
「結婚する前に子供ができたんだって」
「結婚する前に…?」
 何を言いたいのか汲み取れず、大神の瞳を見つめるレニとどうも目を合わせづらくて目を逸らすと、大神はレニを抱き寄せてレニに尋ねた。
「レニはまだまだ舞台に立っていたいだろう?子供ができてしまったら、そんな時間もなくなっちゃうんだぞ」
「うん…」
「俺たちはまだ出逢ってからそんなに時間は経ってない。俺はレニのことを知りたいし、レニに知ってもらいたいと思う」
「うん…」
「だから結婚とかそんな形をとらなくても、俺の隣にいて欲しい。…それだけじゃ駄目かい?」
「ボクは…それだけでもすごく嬉しい。同じように思ってもらって、嬉しい」


「ボクは、この世界に戦いがあるから隊長に出会えた。あの二人みたいに、ボクたちは昔から一緒の場所に住んでたわけじゃないし、それに近くに住んだとも思えない」
「…そうだね」
「だから、ボクはこの戦いですらも憎むことはできない…そう思っては駄目かな」
「俺はそうは思わない」
 頬に一つキスを落として
「俺たちはこの時代じゃなくても、何かの縁で会えたんだ、って…そう思いたい。戦いがなくても、違う世界だったとしても…俺はレニに会いたいよ」
 頬を指で撫でて
「…そうだね」


「写真が入ってるみたいだ、子供も写ってる」
「ほんとだ…可愛いね」
「顔はあんまり変わってないのに…もうこんな家族を持つまでになったんだな」
「結婚する前に子供が出来たのはすごく不安だったと思う。絶対にこの人も不安だったと思う、誰よりも不安だったんだよね…」
 レニはその写真をまじまじと見つめる。そして声を震わせて
「とっても…幸せそうだ…」

 その若い夫婦の写真のように、大神とレニは微笑みあった。


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地元の友達で実際に出来ちゃった結婚をした子がいて、
その奥さんの日記を読ませていただいたらものすごく幸せそうだな、って思って書いてみたもの。
やっぱり17歳(誕生日前)で子供を生むのはものすごく不安だったそうですが、
ものすごくしっかりとした考え方を持っていたので驚きました。
問題は、旦那様が大学に行くかということが問題です(笑
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