サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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謳歌絢爛9
~誰よりも、強く~
~誰よりも、強く~
「今日はなんだか大変な一日だったな…レニも体調が悪いようだし、織姫くんも大変のようだし…おや、この手紙は…」
大神がざっと劇場内の見回りを終わらせ、部屋に戻ると、今まで気がつかなかったが誰かが―――たぶんかえでさんだろう―――置いて行ったのであろう藤色の上品な便せんが机の上に無言でその身を曝していた。
「大神一郎様、この字は…すみれくんのものか」
ペーパーナイフでその便箋の封を丁寧に切ると、思った以上に量の少ない中身を取り出して、広げ、そしてすべてを読み上げた。
「…明日の夜、お話したいことがあります。食堂でお待ち致しますので、ご都合の良い時間にお越し下さい、神崎すみれ」
たった二つの文章、神崎すみれのサイン。
何も変わらぬ彼女の高貴さが表れているそれらは、なぜか今までとは違う表情を見せていたような気がした。予期せぬそれに思わずため息が漏れた。思った以上に深かったそれに、今の状況の深刻さをまた理解させられた。
地下一階からエレベーターに乗るマリアの背中に手を振ると、紅蘭はほほ笑む。そしてごおん、と閉じたエレベーターの音を聞いて、それまでのその表情が嘘だったかのように紅蘭は泣きそうな表情になった。そしてマリアの灰色の機体を撫でる。
「せや…マリアはんなら気づくなんて…わかりきってたことやのに…」
ちらりと紅蘭は床に置いたマリアのデータを眺めた。様々な数値がごちゃごちゃと並べられたその紙は、一見何が書いてあるのか分からない。しかし、書いた紅蘭自身にはその書かれた事実が痛いほどわかっていた。
―――先月を境に、霊力が下がる一方のマリアのデータだった。
「おまえには、すべて分かってしまってるんやな…マリアはんの力がなくなってきてることも、マリアはんがそれを感づいて自信がなくなってることも…」
磨き上げられたマリアの光武に紅蘭の顔が映る。その湾曲している表面であっても、くしゃくしゃになってしまった自分の顔に、紅蘭は悲しく思った。
「おまえたちには、うちらが心なんや…うちらが不安ならおまえは不安になる…おまえは誰よりも強くなれる、うちらがいるかぎり…」
紅蘭の頬を涙がつたう。彼女は記憶されているデータから、マリアがこれからどうなるのか、おおかた予想がついてしまっている。もう今更そこから外れることなど考えられないほどに、マリアのデータはすべてを表してしまっている。
「おまえは…誰よりも弱くなることだって…」
口はきかないけれど おまえの心はわかる
誰よりも 誰よりも
--------------------------------------
ようやく謳歌絢爛の細かい設定が決まりました。
詰めれば詰めるほど描写できなさそうで怖いです。
自分が幸せに生きているからこそ、小説は考える度に泣けるんだって思います。
今回は少し、短め。
理由は次回彼女が出てくるから。しかも1パラグラフしかないやー
ついでにその次も1パラグラフのみー
ストックの限りできるだけ毎日更新したいと思います。
大神がざっと劇場内の見回りを終わらせ、部屋に戻ると、今まで気がつかなかったが誰かが―――たぶんかえでさんだろう―――置いて行ったのであろう藤色の上品な便せんが机の上に無言でその身を曝していた。
「大神一郎様、この字は…すみれくんのものか」
ペーパーナイフでその便箋の封を丁寧に切ると、思った以上に量の少ない中身を取り出して、広げ、そしてすべてを読み上げた。
「…明日の夜、お話したいことがあります。食堂でお待ち致しますので、ご都合の良い時間にお越し下さい、神崎すみれ」
たった二つの文章、神崎すみれのサイン。
何も変わらぬ彼女の高貴さが表れているそれらは、なぜか今までとは違う表情を見せていたような気がした。予期せぬそれに思わずため息が漏れた。思った以上に深かったそれに、今の状況の深刻さをまた理解させられた。
地下一階からエレベーターに乗るマリアの背中に手を振ると、紅蘭はほほ笑む。そしてごおん、と閉じたエレベーターの音を聞いて、それまでのその表情が嘘だったかのように紅蘭は泣きそうな表情になった。そしてマリアの灰色の機体を撫でる。
「せや…マリアはんなら気づくなんて…わかりきってたことやのに…」
ちらりと紅蘭は床に置いたマリアのデータを眺めた。様々な数値がごちゃごちゃと並べられたその紙は、一見何が書いてあるのか分からない。しかし、書いた紅蘭自身にはその書かれた事実が痛いほどわかっていた。
―――先月を境に、霊力が下がる一方のマリアのデータだった。
「おまえには、すべて分かってしまってるんやな…マリアはんの力がなくなってきてることも、マリアはんがそれを感づいて自信がなくなってることも…」
磨き上げられたマリアの光武に紅蘭の顔が映る。その湾曲している表面であっても、くしゃくしゃになってしまった自分の顔に、紅蘭は悲しく思った。
「おまえたちには、うちらが心なんや…うちらが不安ならおまえは不安になる…おまえは誰よりも強くなれる、うちらがいるかぎり…」
紅蘭の頬を涙がつたう。彼女は記憶されているデータから、マリアがこれからどうなるのか、おおかた予想がついてしまっている。もう今更そこから外れることなど考えられないほどに、マリアのデータはすべてを表してしまっている。
「おまえは…誰よりも弱くなることだって…」
口はきかないけれど おまえの心はわかる
誰よりも 誰よりも
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ようやく謳歌絢爛の細かい設定が決まりました。
詰めれば詰めるほど描写できなさそうで怖いです。
自分が幸せに生きているからこそ、小説は考える度に泣けるんだって思います。
今回は少し、短め。
理由は次回彼女が出てくるから。しかも1パラグラフしかないやー
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