謳歌絢爛１０

今回はとっても短いのです；；



--------------------------------------

謳歌絢爛１０
～連なりは今に絶えず～

「あなたはどう思ってらっしゃるの！！わたくしのようになるのは分かりきっていること…カンナさんだって分かってらっしゃるでしょう…いつか、カンナさんにだって霊力がなくなってしまうことくらい…」

　カンナの部屋。部屋のキネマトロンから女性の声が高らかに響いていた。通信相手、それはほんの先ほど大神の部屋に届けられた手紙の送り主、神崎すみれその人だった。カンナはすこしヒステリックにも思えるすみれの声に冷静に答える。

「そりゃあ分かってるさ、ただ、あたいは今を生きていくだけでいい…ただあたいにはそれだけしかないんだよ…」

「カンナさん！」
　すみれはカンナを怒鳴りつけるように彼女の名前を呼ぶが、カンナはふっと笑っていつものような明るい口調で言葉を紡ぎ始めた。

「あたいには家族がいない、ああ、帝劇のみんな以外な。だからあたいは何だってできるんだ。どうやって生きていくのか決めることも、どうやってあたいが死ぬのかも」

「カンナさん！！あなた分かって…！！」

「とりあえず空手の継承者見つけなきゃな！そうだな、いつ出撃があるか分からないから、沖縄で見つけるのは難しいかもな、帝都で見つけるしかないかな、こりゃ…」

　すみれがカンナを呼びかけているのにも関わらず、カンナは淡々と話し続ける。ただ、次第にすみれにもそれは、すみれを無視しているのではないということが分かってきた。

「あたいに勝てるやつを見つけなきゃな、それにそれなりに霊力を持ってるやつじゃないと辛いんだよな、あたいの空手って。意外と見つけるのも大変そうだな、でも…」

　ふと、滞りなく紡がれていた言葉が止まった。すみれは俯いて、キネマトロンの先のカンナから目をそらした。もうすみれには、分かっていた。これからカンナが何を言おうとしているのかを。

「本当は…本当はあたいだって…怖いんだよ、いつかここを離れなきゃいけないんだって考えると…っ、いつか一人でって考えると、怖くて眠れないんだ…」

　その沈黙の先の、彼女の弱音、だった。