サクラ大戦のレニに愛。テキスト中心、イラスト少々。シリアスとギャグ混在ぎみ。初めての方はAbout Meへ
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モトホシ。
レニ→織姫。
ある休演日の午後のひととき。レニの心情とともに。
理由はわからないけど…ただそれだけ。
冷静に導き出した結果はただそれだけ。合理的な理由もなければ、きっと冷静でもなかったけれど。
なによりも。
レニ→織姫。
ある休演日の午後のひととき。レニの心情とともに。
理由はわからないけど…ただそれだけ。
冷静に導き出した結果はただそれだけ。合理的な理由もなければ、きっと冷静でもなかったけれど。
なによりも。
休演日の午後3時頃はだいたい音楽室からピアノの音色が聴こえる。
卓越した技術の持ち主であろうその演奏者にはきっと情熱的な楽曲がなぜか似合う。
Chopinならば革命。別れの歌も彼女は完璧に弾きこなすことができるが、
なぜか別れの中に闘争心を秘めているような、熱情がある。彼女にそんな曲は似合わない。
ボクもピアノが弾けないわけではないけれど、彼女のようにピアノに向かう必要性も意欲もない…
ただ自己表現のツールの一つ。つまり…理由が、ない。
だから最近指がかたくなってしまったのかと思うと納得がいく。
ボクはどちらかといえばピアノを弾くよりもヴァイオリンを弾く方が好きだ。張り詰めた空気に、弦が軋むようなあの瞬間。
顎を載せ見据え構え、戸惑うときさえもある瞬間…
どんな風に演奏していたかと疑問に思うとことさえもあるが、構えてしまいさえすれば自ずと旋律が生まれる。
それは自分との戦闘とも言えるかもしれない、と彼女に言ったらまた力を抜くように注意されてしまうだろう。
それとも一種のギャンブル?
鳴るか鳴らないかの瀬戸際、広々としたステージでボクはたくさんの観客に見つめられ(あるいは脅されているのかもしれない)そんな状況を味わう。
そんなのがプロでいいのか知らないけれど、とりあえずその賭けに勝ったことはない。
指を載せれば音が出てしまうピアノとはここが違う。
「織姫そこ、速くなりすぎてる。それでは次のページが…」
「あぁ~んもうっ!!バランスじゃなくてその瞬間の感性でーす!シュ・ン・カ・ン!!」
「瞬間の感性だけなら楽譜なんていらないよ、織姫。作者は楽譜にその曲の音程と連続性を託しているんだ」
「も~なんだっていいじゃないですか!ミラノやらローマのステージに立つ訳じゃないんですよ?」
「音楽はいつも自分の限界への挑戦だと…織姫は昔のインタビュウで答えてなかったっけ?」
「そんな昔の話忘れたでーす!!もう一回行くでーす!!」
でも意外に彼女は完璧主義者だから、同じ間違いはしない。
「…そこはC」
「おっかしーですねー確かにCだったはずなんですけど…なんでこんなところが…」
「どうしたの?」
「…音が違いまーす」
「え?」
ぽーんぽーんと力強く織姫がキーを叩くものの、見た目とは異なる音が虚しく音楽室に響いている。
「少し、貸して」
レニが先ほどの織姫の演奏で音が違った部分を含め2小節ほどを即興で弾いてみせた。
…少しぎこちない手つきではあったけれど。
「本当だ。今さっきボクが聴いた音だ」
「もうっ、ピアノがちゃんと調律されてないだなんてサイアクでーす!雰囲気メチャクチャです…」
織姫は何度もそのキーを少しイラつきながら叩いている。
織姫にとっては久しぶりの音楽室だった。
ここのところ織姫は公演の間にはイタリアに帰ったりさまざまな雑誌のインタビュウの取材があったりで音楽室に立ち入る時間がなかった(かつての織姫なら深夜でも周りのことを考えずにピアノを弾いていたが)
そんな久しぶりに持てた時間なのに、織姫はボクの部屋にきてこう言った。
「一緒に弾きましょ、レニ」
「私がレニを誘っておきながら…ごめんなさいです。レニ、怒ってないですか?」
「え?なんのこと?」
「昔のレニだったらものすごく機嫌が悪そうにしましたから。せっかく自分は弾けるのに、私が弾けなくなると…」
「そう…だった?」
「レニも…変わりましたね?」
にこりと織姫がレニに微笑みかけると、レニは恥ずかしそうに口を結んでうつむいた。
「じゃあこのキーを使わない曲を弾こう。たしか…」
「だからそこ、そうじゃないよ」
「ん~もうっ!!そんな私は覚えてないでーす!!」
「少し貸してみて。僕が一回弾いてみるから」
そんな鍵盤は思ったよりもかたくて、昔ほど弾けなかった。最近は弾く機会なんてなかったから。
必要性も感じない。それにピアノは彼女の楽器。
ボクはそれに合わせてヴァイオリンを弾くだけで十分。
もしも欧州の人たちによくボクたちがデュエットしていると知れたらどうなるのだろう?
こんなにお金になりそうなことを軽々しくやるなと言われてしまうだろうか。
それでも趣味は趣味、ボクにとっては極上のひととき。ボクのヴァイオリンは、そのとき一番の響きを持つから。
ギャンブルでもなくて無意味でもなくて自分のためでもない。ひとりのためにボクの音はここにある。
ボクのヴァイオリンは彼女のピアノのために輝く。
だから、ボクは、ピアノなんて弾けなくてもいい。ただ、このヴァイオリンさえあればそれでいい。
そんなピアノを上手く弾けなくなった手を広げては見つめると、ふっとボクは微笑んだ。
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